住宅メーカーの結びつき
Oさんが「0Mソーラーをやれる女性の建築家がいれば建てるんだけれど……」と相談したところ、友人の一人で、郵便局長だった女性が、「いま局舎を新築しているんだけれど、その設計をしている女性建築家がOMソーラーの家の経験もあるし、年も若いし、いい感覚なのよ。
相談してみたら」と勧めた。
それがKさんだ。
局長さんは、Kさんが自分の局の利用者だった縁で建築を依頼したという。
OさんはKさんの経歴とそれまでの作品を住宅雑誌で調べてみた。
Kさんは吉祥寺で「スタジオM」という設計事務所を経営している。
この世界では若手に入るが、店舗・マンションといった大型建造物や、郵便局や福祉施設などの公共建築物から一般の住宅まで幅広く手がけている。
こぢんまりした家をつくっていることもわかった。
経歴もそのほかの条件もOさんが望んでいたとおりだったし、もう一つ、郵便局長をしていた友人の「人を見るたしかな目」を信頼していたOさんは、思い切って連絡をとることにした。
0Mソーラーとは、屋根で太陽熱を集熱し、ダクトを通じて床下のコンクリートに蓄熱し、家全体をあたためる、というシステムである。
その熱でお湯をわかすこともできる。
外気を取り入れて循環させ、外に出すまでの空気の通り道を建物全体で考えて設計する。
夜間の冷気を使って家を冷やすシステムを同時に使えば、夏も涼しい。
建築家のO氏が「建物は熱も空気もデザインすべきだ」という考えのもと、七○年代から実験を試み、八○年代後半から普及するようになった。
太陽光や風という自然エネルギーを上手に使うことで、住宅内の快適な環境を得ようとするシステムだから、エコロジーの観点から関心を持つ人が多い。
KさんはOMソーラーの家を何軒か設計しており、九六年に設計した個人住宅で、0Mソーラー協会が主催したコンクールの最優秀賞を受賞している。
OさんはOMソーラーについての記事を住宅雑誌で読み、自然エネルギーを取り入れるという発想が気に入って、自分の家にも採用したいと願っていた。
電気やガスだけに頼らず、太陽や風の恵みを生かせる暮らしに惹かれたからだ。
そしてKさんに連絡をとり、事務所に会いにいき、長時間にわたって話し合った。
それは施主と建築家の理想的な出会いであり、関係であったといってよい。
「Kさんなくして私の家はもとよりなく、家について明白に語る私もいない」とまでOさんはいいきる。
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